エアコン移設
エアコン移設と買い替え、どちらを選ぶべき?
引越しが決まったとき、今使っているエアコンを持っていくか、置いていって新しく買うか。この判断に決まった正解はありませんが、判断の材料になる項目はいくつかあります。
この記事では、移設と買い替えを比べるときに見るべき点を整理します。「まだ使えるから持っていく」という判断が、必ずしも得にならない場合もあるためです。
移設は「取り外し」と「取り付け」の両方が必要
まず前提として、移設は1回の工事ではありません。移設元での取り外しと、移設先での取り付けという2つの作業が必要です。
取り外しでは、冷媒を室外機へ回収するポンプダウンを行い、配管を外し、室内機と室外機を撤去します。取り付けでは、据付板の固定から配管の接続、真空引き、試運転までを行います。作業量としては、新しいエアコンを1台取り付けるのと同等か、それ以上になります。
つまり移設の費用は「本体代がかからない代わりに、工事は2回分に近い」という構造です。ここを理解しておくと、比較の見当がつきやすくなります。
判断の材料1:使用年数
いちばん大きな判断材料が使用年数です。エアコンの設計上の標準使用期間は、メーカーが概ね10年前後としています。これは「10年で壊れる」という意味ではなく、部品の供給や安全性を前提とした目安です。
使用年数が短い機種であれば、移設して使い続ける価値があります。一方、10年に近づいている、あるいは超えている機種では、移設した直後に故障する可能性を考える必要があります。移設工事の費用をかけたあとに故障すれば、その費用は戻りません。
判断に迷う場合は、型番から製造年を調べられます。室内機の側面や前面パネル内側の銘板シールに記載があります。
判断の材料2:移設先で同じ条件が揃うか
今のエアコンが移設先で使えるかどうかは、移設先の条件で決まります。次の点が揃っていれば移設しやすく、揃っていないほど追加の作業が必要になります。
- 必要な電圧のコンセントがあるか(100V機種なのに200Vしかない、またはその逆)
- 専用回路が用意されているか
- 配管を通せる経路があるか、既存の穴が使えるか
- 室外機を据えられる場所があるか
- 現在の配管の長さで室外機まで届くか
- 室内機を取り付けたい壁に、必要な幅と高さがあるか
賃貸物件では、外壁への穴あけや分電盤の作業に管理会社の許可が必要な場合があります。移設先が賃貸の場合は、契約時に確認しておくと後の手戻りがありません。
判断の材料3:部屋の広さと能力が合っているか
見落とされやすい点です。今の部屋に合っていたエアコンが、移設先の部屋に合うとは限りません。
6畳用のエアコンを12畳の部屋に付けると、常に全力運転になります。設定温度まで届かないこともあり、電気代も上がります。逆に大きすぎる能力の機種を小さい部屋に付けると、こまめに運転が止まって湿度が下がりにくくなります。
移設先の部屋の広さと、今の機種の対応畳数を照らし合わせてください。合っていない場合は、その部屋に合う機種を新しく入れたほうが、日々の使い勝手と電気代の両面で有利になります。
判断の材料4:冷媒の種類と省エネ性能
古い機種では、現在とは違う種類の冷媒が使われていることがあります。冷媒が違うと、修理時の対応や配管の再利用の判断が変わります。また、冷媒とセットで使われる冷凍機油の種類も違うため、配管をそのまま使うと不具合の原因になることがあります。
省エネ性能の面でも差があります。エアコンは家庭の電気使用量の中で大きな割合を占める機器で、年式による消費電力の差は運転時間が長いほど積み上がります。10年前の機種と現在の機種では、同じ使い方でも年間の電気代に差が出ます。
移設の工事費用と、電気代の差を年単位で比べてみると、判断しやすくなることがあります。
判断の材料5:取り外し時の状態
移設できるかどうかは、取り外しの時点で確定します。特に重要なのが、エアコンが動く状態かどうかです。
取り外しにはポンプダウンが必要で、これはエアコンが運転できる状態でないと行えません。すでに動かない機種は冷媒の回収に別の方法が必要になり、そもそも移設して使えるかどうかも不明です。
また、取り外し時に配管を巻いて運ぶことになりますが、無理な曲げで潰れた配管は再利用できません。断熱材が劣化している配管も、そのまま使うと結露の原因になります。
ケース別の考え方
移設を検討しやすいケース
使用年数が数年以内で、移設先に必要な電圧のコンセントと配管経路が揃っており、部屋の広さも近い場合です。この条件なら、本体代がかからない分、移設のほうが総額を抑えられる可能性があります。
同じ家の中での付け替え(子ども部屋から寝室へなど)も、移動距離が短く配管が足りることが多いため、移設が現実的です。
買い替えを検討しやすいケース
使用年数が10年前後に近づいている、移設先で電気工事や配管の引き直しが必要になる、移設先の部屋の広さが今と大きく違う。こうした条件が重なる場合は、買い替えのほうが結果的に有利になることがあります。
また、取り外し日と設置日が離れる場合、機器の保管が必要になります。この手間も判断材料のひとつです。
両方を組み合わせるケース
複数台ある場合、年数の新しいものだけ移設し、古いものは置いていって移設先で新しく入れる、という選択もあります。台数と年数を整理して考えると、判断しやすくなります。
判断のために用意しておくと役立つ情報
- エアコンの型番(室内機の銘板シールに記載)
- 使用しているおおよその年数、または製造年
- 現在の設置状況が分かる写真(室内機・室外機)
- 移設先の部屋の広さ
- 移設先のコンセントの形状が分かる写真
- 移設先で室外機を置ける場所の写真
- 現在エアコンが正常に動作しているかどうか
まとめ
移設と買い替えの判断は、使用年数、移設先の条件、部屋の広さと能力の適合、冷媒と省エネ性能、そして取り外し時の状態という5つの材料で考えます。
「まだ動くから移設」という判断が、工事費用と将来の故障リスクを含めると得にならない場合もあります。型番と使用年数、移設先の状況をお知らせいただければ、判断の材料をご一緒に整理します。
この記事に関するよくある質問
移設できるかどうか、電話だけで分かりますか。
ある程度の見当はお伝えできます。型番と使用年数、移設先のコンセントの形と室外機を置ける場所が分かれば、大きな障害があるかどうかは判断できます。確定するのは現場を確認したあとになります。
引越し業者に頼むのと、エアコン工事店に頼むのは違いますか。
引越し業者が取り扱う場合も、実際の作業は提携している工事業者が行うことが多いです。どちらに頼むかで工事の内容が変わるわけではありませんが、直接依頼すると現場の条件を事前に相談しやすくなります。
取り外しだけ先に頼んで、あとで設置を頼めますか。
可能です。ただし取り外しから設置までの期間、機器の保管場所が必要になります。室内機は雨と埃を避けられる場所へ置いてください。配管の切り口は塞いだ状態でお渡しします。
この記事について
- 監修
- 3Peace 代表 面出 洋平
- 所在地
- 広島県広島市西区己斐上4丁目36-18
- 公開日
この記事は、広島市西区己斐上でエアコン工事を行う3Peaceが、実際の施工で確認している内容をもとに作成しています。 現場の条件によって適切な方法は変わるため、個別の判断は状況を確認したうえでご案内します。
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