エアコン取り付け
エアコン工事の「真空引き」とは?なぜ必要なのか
エアコンの取り付け工事の最後のほうで、作業者が配管に機械をつないで数分から十数分待っている場面があります。これが真空引きです。
真空引きは、終わったあとに目で見て確認できる作業ではありません。省いてもその日はエアコンは動きます。それでも必ず行うべき作業とされているのには理由があります。この記事では、その理由を説明します。
真空引きとは何をしている作業か
真空引きは、接続した配管と室内機の内部に残っている空気と水分を、真空ポンプで吸い出す作業です。
エアコンの冷媒は、工場出荷時に室外機の中に封入されています。室内機と配管の中には冷媒が入っておらず、取り付け時点では空気が入った状態です。この空気を抜かずに室外機のバルブを開けると、冷媒と空気が混ざった状態で運転が始まります。
真空ポンプを配管の接続口につなぎ、内部の圧力を下げていきます。規定の真空度まで下がったらポンプを止め、その状態で圧力が戻らないことを確認します。戻らなければ漏れがないと判断でき、そこで初めて冷媒を配管へ流します。
空気と水分が入っていると何が起きるのか
問題になるのは、空気そのものよりも、空気に含まれている水分です。エアコンの冷媒回路は本来、水分がまったく入らない前提で設計されています。
内部で酸ができて部品を傷める
現在の家庭用エアコンで使われている冷媒と冷凍機油は、水分と反応すると加水分解を起こし、酸を生じます。この酸が圧縮機の内部の金属や絶縁材を少しずつ傷めていきます。
すぐに壊れるわけではありません。数年かけて進行し、最終的に圧縮機の故障として現れます。原因が施工時の水分だったと後から特定するのは難しく、単に「寿命だった」と受け取られることが多い症状です。
細い部分で凍って詰まる
冷媒回路には、キャピラリーチューブや膨張弁といった細い部分があります。ここは冷媒が急激に膨張して温度が下がる場所です。水分が混ざっていると、この場所で氷になって流れを妨げます。
症状としては、「運転を始めてしばらくは冷えるが、途中で冷えなくなる」という形で現れます。運転を止めて時間が経つと氷が溶け、また冷えるようになるため、原因が分かりにくい不具合です。
圧力が上がって効率が落ちる
空気は冷媒と違って液化しません。回路の中に残った空気は熱交換器の上部に溜まり、そこで熱交換の面積を奪います。同時に回路全体の圧力を押し上げます。
結果として、冷えや暖まりが悪くなり、同じ温度にするために長く運転することになります。電気代にも影響します。
「エアパージ」との違い
真空引きの代わりに、冷媒そのものを少し放出して空気を押し出す方法があります。これをエアパージと呼びます。作業は短時間で済み、真空ポンプが不要です。
ただし、この方法には2つの問題があります。ひとつは、冷媒を大気に放出することになる点です。エアコンの冷媒は温室効果の高いガスで、みだりに放出すべきものではありません。
もうひとつは、空気を完全に押し出せない点です。押し出せる量には限りがあり、水分は残ります。現在は各メーカーが真空引きを標準の手順として示しており、エアパージは推奨されていません。
見積もりや作業内容の説明で「真空引きを行うか」が明示されているかを確認する価値があります。作業として目立たないため、省かれても気づきにくい部分です。
真空引きの手順
配管の接続を完了させる
室内機側と室外機側の両方の接続を締め付け、配管がつながった状態にします。この時点では室外機のバルブは閉じたままです。
ゲージマニホールドと真空ポンプをつなぐ
室外機のサービスポートに、圧力を測るゲージと真空ポンプを接続します。
ポンプを回して内部を吸引する
配管の長さと室内機の容積に応じた時間、ポンプを回します。ゲージの針が規定の真空度まで下がるのを確認します。
バルブを閉じてポンプを止め、放置する
ここが確認の要です。ポンプを止めた状態で数分置き、真空度が戻らないかを見ます。戻る場合は、どこかから空気が入っている=漏れがあるということです。
漏れがあれば接続部を確認し直す
多くの場合、フレア加工の不良か締め付け不足です。該当箇所を外して加工し直し、再度真空引きから行います。
冷媒を開放する
真空度が保たれていることを確認したら、ゲージを外し、室外機のバルブを開いて冷媒を配管へ流します。
どのくらいの時間をかけるものなのか
配管の長さと室内機の容積によって変わりますが、標準的な家庭用の取り付けであれば、ポンプを回す時間は10分から15分程度が目安になります。配管が長い場合や、湿度の高い日はより長くかかります。
短縮できる作業ではありません。ポンプを回す時間を削ると、真空度が足りないまま冷媒を流すことになります。
真空引きのあとの「放置して圧力が戻らないか見る」時間も、省略されがちですが確認としては重要な部分です。ここで漏れを見つけられれば、冷媒を流す前に直せます。
移設や交換では、より重要になる
新設では配管が新品なので、内部は比較的乾いた状態です。一方、移設や交換で既存の配管を再利用する場合、配管は一度外気にさらされています。
取り外してから再設置するまでの期間、配管の切り口が開いていれば、そこから湿った空気が入ります。この期間が長ければ入り込む量も増えます。だから取り外し時には配管の両端を塞いでおきます。
交換工事では、前の運転で入り込んだ水分や、旧タイプの冷凍機油が残っていることもあります。真空引きで水分は抜けますが、油は抜けません。油の種類が新しい機種と合わない場合は、配管の洗浄か引き直しが必要になります。
まとめ
真空引きは、配管内の空気と水分を抜き、漏れがないことを確認する作業です。省いてもその日は動きますが、数年後の故障や効きの低下として現れます。
3Peaceでは、真空引きを行い、ポンプを止めた状態で真空度が戻らないことを確認したうえで冷媒を開放しています。工事の内容についてご質問があれば、お問い合わせの際にお聞きください。
この記事に関するよくある質問
真空引きをしたかどうか、後から確認できますか。
完了後に外から見て判断することはできません。作業中に真空ポンプとゲージが配管につながっている場面があるかどうかが、その場での確認方法になります。気になる場合は、工事を頼む段階で「真空引きは行いますか」と確認しておくのが確実です。
真空引きをしていないと、すぐに壊れますか。
すぐに壊れることは少なく、その日は正常に動きます。問題が出るのは数か月から数年後で、効きの低下や、運転途中で冷えなくなる症状として現れます。原因の特定が難しいのが、この作業を省いた場合の厄介な点です。
真空引きの時間が短いと問題がありますか。
配管の長さに対して時間が足りないと、真空度が規定に達しません。標準的な取り付けでも10分程度はかかる作業です。数十秒で終わっているようであれば、真空引きではなくエアパージを行っている可能性があります。
この記事について
- 監修
- 3Peace 代表 面出 洋平
- 所在地
- 広島県広島市西区己斐上4丁目36-18
- 公開日
この記事は、広島市西区己斐上でエアコン工事を行う3Peaceが、実際の施工で確認している内容をもとに作成しています。 現場の条件によって適切な方法は変わるため、個別の判断は状況を確認したうえでご案内します。
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